住まいの相談室vol.21 相続人がいない家はどうなる?
福栄不動産にいただくご相談には
同じようなお悩みを持っている方がほかにもいるのでは?というものがあります。
ということで、より多くの方のご参考になるよう、ご相談内容を紹介させていただきます。
(※内容はご相談者様の了解を得て、一部修正しております。)
ご相談内容
近所の方が亡くなり、相続人がいないまま空き家が残ってしまいました。この家や土地は、これからどうなるのでしょうか。誰かが管理してくれるのか、それともそのまま放置されてしまうのか。空き家が増えていると聞くので、とても気になっています。
回答
相続人がいない不動産は、すぐに国が片づけてくれるわけではなく、法律に沿った流れを経て整理されます。ただし、田舎では「不動産を残さないこと」自体が大切だと言われる現実もあります。ここでは、知っておきたい3つの視点を紹介します。
1.家庭裁判所が「管理人」を選んで不動産を見守る
相続人がいないと分かると、債権者や市区町村の申立てにより家庭裁判所が「相続財産管理人」を選びます。弁護士などが就任し、家や土地を調査・管理し、必要があれば売却や処分を行います。いわば「臨時の管理人」が代わりに整理する仕組みです。ただし、申立てがなければこの手続きは始まりません。
2.生前にお世話をした人に分けられる場合があるが、負担になることも多い
被相続人を世話した人などは「特別縁故者」として財産を受け取れる制度があります。しかし田舎の実情として、不動産を相続することが必ずしもプラスとは限りません。遠方に住む人が空き家や農地を受け継いでも維持や処分が難しく、むしろ負担になることが多いのです。そのため「どう引き継ぐか」だけでなく「いかに残さないか」も大切な視点です。
3.国庫に帰属する仕組みはあるが、放置されることもある
法律上は、債権者や特別縁故者への分与が終わった残りは国庫に帰属する仕組みがあります。ところが、管理人選任の申立てがなければ手続きは進まず、不動産は名義がそのまま残り、空き家として放置されてしまうケースも多いのが現実です。田舎の空き家問題の背景には、この「制度はあっても動かない」現実があるのです。
まとめ
相続人がいない不動産は、管理人選任→分与→国庫帰属という仕組みがあるものの、実際には放置されることが少なくありません。田舎では「財産を残すこと」より「不動産を残さない工夫」が大切です。元気なうちに処分や遺言を考えることが、地域に迷惑をかけない第一歩になります。
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